🇯🇵 日本の現状

日本では、社会的養護が必要な子どもたちに対して、里親やファミリーホーム(代替養育)への委託を増やそうという動きがあります。厚生労働省等が策定した「社会的養育推進計画」においては、以下のような目標が掲げられています。(厚生労働省)

年齢区分国の目標・期限実際の里親等委託率(令和3年度末など)
3歳未満児約5年以内に75%以上約25.3% (日本証券業協会)
3歳以上~就学前約7年以内に75%以上約30.9% (日本証券業協会)
学童期以降約10年以内に50%以上約21.7% (日本証券業協会)
全体約23.5% (日本証券業協会)

このように、現在の里親等委託率は、国が目指している目標と比べるとかなり低いのが実態です。特に乳幼児の委託率は25%前後と、75%の目標とは大きなギャップがあります。(日本証券業協会)

また、里親制度を利用して家庭養育を受けているのは、社会的養護が必要な子ども全体(およそ42,000人)のうち、7,700人強(里親+ファミリーホーム)に過ぎず、委託率は約2割という数値も報告されています。(厚生労働省)

🌍 海外(英国、アメリカなど)の養育形態と委託率

海外では、代替養育(foster care / kinship care)が中心的な制度となっており、里親家庭で育てられる子どもの割合が非常に高い国が多くあります。

  • イングランド(UK):2021年〜2022年頃には、約75%近くの「子どもが家庭外で養育される場合(“children in care”)において、里親等の家庭(foster care family)で育てられている子どもが多い。(GOV.UK)
  • UK全体(2024年のデータ):子どもたちの約**67%**が里親・フォスター家庭で暮らしており、施設(児童養護施設やケアホーム)で育てられている割合はずっと低い。(CoramBAAF)
  • アメリカ:2023年のデータで、養護が必要な子どもたちのうち世話を受けている子どもは50万人超。施設以外の家庭で育てられている子どもの割合が高く、親族里親(kinship foster)や非親族里親制度が制度としてしっかり機能している州・地域が多い。(USAFacts)

こうした比較から見ると、日本の里親等委託率は、海外の先進国に比べてかなり低い水準にあり、家庭養育(foster care等)が主流の国々との差が明らかです。


ただ委託率を上げればいい、というわけではない

「海外の真似をすればいい」「数字を上げさえすればいい」と思いがちですが、委託率向上には注意すべきポイントやリスクもあります。

  1. 子どもの最善の利益を優先すること
    委託制度の目的は、単に施設から家庭に移すことだけではなく、子どもが安心し愛情を受けられる「家庭的環境」で育つことです。年齢、性格、発達段階などを考慮し、無理に家庭委託をすることがかえって子どもにとってストレスとなることもあります。(日本財団)
  2. 自治体間での地域格差が大きい
    日本国内でも、委託率に自治体による差が非常に大きい(福岡市では70%近く、金沢市などでは一けた台)というデータがあります。制度があっても、地域の制度運営・支援体制・登録里親数・稼働率などで結果に差が出ています。(日本財団)
  3. 里親登録数と「稼働率」の問題
    登録している里親が必ずしも受け入れ可能な状態ではない、または受け入れられる子どもが見つからないなど、「登録里親」=「実際に委託される里親」ではないという問題があります。これが里親制度の活用率を下げている要因のひとつです。(日本証券業協会)
  4. 支援体制の充実が不可欠
    里親・ファミリーホームを運営する人への研修、金銭的支援、生活支援、メンタルヘルス支援、子どものケアのための制度などの支援が不十分だと、家庭委託が長続きせず、子どもの安定した成長が阻害されてしまいます。海外の成功例は、こうした支援を重視しています。(ifco.info)

💡 では、私たちにできることは?

里親等委託率を上げるだけでなく、よりよい制度・環境にするために、私たち一人ひとりや地域でできることがあります。

  1. 制度を学ぶ・知る
     里親制度やファミリーホームの説明会、公開セミナー、現場の声を聞く機会に参加する。知識をもつことで誤解や不安が減ることが多いです。
  2. 登録里親に関心を向ける
     将来的に里親になるかは別として、「登録できる要件」「支援内容」「日常の流れ」などを調べ、見学や体験をすることも有効です。
  3. 地域や支援団体を支援する
     ボランティア、物資提供、資金寄付などで支えるほか、里親・ファミリーホームを応援する声を上げることも大切です。情報を広める、SNS等で制度をシェアするなど。
  4. 自治体に声を届ける
     政策決定は自治体の動きによる部分が大きいです。「里親支援をもっと充実させてほしい」「登録里親への支度金・住居支援を強めてほしい」など、住民として要望を伝える。
  5. 地域のネットワークを作る/広げる
     既存の里親・ファミリーホームの関係者、支援団体、地域の学校・医療機関などが連携して子どもたちのケアを支える場を増やす。互いの経験を共有し、制度を改善していく力となります。

✅ 数字だけじゃない、心も育てる社会へ

数字で見ると、日本の里親等委託率はまだまだ海外の水準と比べると低く、大きな伸びしろがあります。しかし、大切なのは「どれだけ多く家庭に委託するか」ばかりではありません。委託方式が子どもの最善の利益を実現できるか、里親が支援を受けて持続可能な形で養育できるか、地域全体で見守る体制があるかどうか、などの質が問われます。

あなたが「数字を上げること」に興味を抱くなら、まず「どのような制度・支援が子どもと里親双方にとって良いのか」を考えてみませんか? 見るべきは「委託率」だけでなく、「子どもが安心できる、愛される家庭を増やすこと」です。そしてそのために、あなたにできる小さな一歩も、確実に意味があります。――あなたの関心が、未来の一人の子どもの人生を変えるかもしれません。


🏡ファミリーホームは一人で頑張るものじゃない

「興味はあるけど、自分にできるか不安…」そんな声もよく聞きます。でも大丈夫。札幌市や支援団体、そして恵育会のような地域のサポート機関が、全力でバックアップしてくれます。

✅ 養育に関する相談・研修
✅ 地域とのつながりイベント
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など、安心してスタートできる仕組みが整っています。


🍎あなたも一歩を🍏

ファミリーホームや里親になることは、特別な人だけの役割ではありません。地域で子どもを育てる時代に、あなたの関わりが ひとりの子どもにとっての「人生の転機」になるかもしれません。

少しだけ立ち止まって考えてみませんか?
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