ファミリーホーム事業用住宅には、様々な条件が求められるため、それに該当する中古住宅を見つけることは難しい。新築できるなら問題はないが、建築費用が高額になり、個人の自己資金での建設は非常に困難です。そのため、中古住宅を購入してファミリーホーム用に増改築するのが現実的ですが、改修のもとになる中古物件に求められる条件が多いのです。特に問題になるのは、建ぺい率(土地面積に対して何%までの床面積をとってよいのか)と容積率(土地面積の何%まで建築できるのか)です。ファミリーホーム開設希望者は、一般的にご自分の住宅をファミリーホーム用住宅に転用したいと考えますが、ほとんどの場合、建ぺい率と容積率が引っかかって増改築できません。それは、多くの人が用途指定における第一種低層住居専用地域や第二種低層住居専用地域に住んでいるため、建ぺい率40%か50%、容積率60%か80%に制限されているからです。しかも、容積率が80%とされていてもファミリーホーム用に住宅を改修する場合(一般住宅から寄宿舎への用途変更)、特別用途地区の規制がかかり、容積率が60%に減らされてしまいます。そのため、部屋数を8-10部屋確保したファミリーホームを建設しようと思うと、100坪(330㎡)の土地の広さが必要となります。なかなか、100坪もある土地を所有する住宅に住んでいる人はいません。そのため、ファミリーホームへの転用が難しいのです。札幌市でファミリーホームをしている事業者のほとんどは、自宅ではなくファミリーホームができる住宅へと転地して起業しています。

 ファミリーホーム事業の開設において住宅確保は大きな問題ですが、子どもたちの最善の利益を考えますと、耐震・耐火構造の住宅で安心・安全を確保された生活を提供することこそ、何よりも重要なことであると考えます。ファミリーホームを事業者にとって、子どもたちにとって安心・安全な住宅を準備することは大変ですが、労苦を惜しんで安易な手段でファミリーホームを開設することは避けなければなりません。そこに対していかに真剣になれるかに、児童福祉事業に取り組む事業者の子どもたちへの愛の真偽が証されるように思います。