またしても、車の中に置き去りにされた児童が死亡するという痛ましい事件が起こった。9月9日、岡山県津山市の病院の駐車場に止められた車の中で男児がぐったりした状態で見つかり、死亡が確認された。この事件で、岡山県警は10日、男児を約9時間半にわたって車内に置き去りにしたとして、同市の介護助手の祖母(53歳)を過失致死容疑で逮捕した。祖母は「考え事をしていて送るのを忘れていた。仕事を終えて車に戻るまで気づかなかった」という主旨の供述をしているとのことです。また、この事件を受け、男の子が通っていた保育園では、10日夜、保護者への説明会が開かれました。園では、午前9時半を過ぎて児童が登園しない場合は保護者に直接連絡する規則を定めていましたが、今回、その連絡を怠っていたということでした。

 いつでも、大人たちのうっかり不注意によって児童の尊い命が失われます。ファミリーホームの養育者にとって、この事件は決して他人事ではありません。煩雑な事務作業をこなしながら複数の児童の養育に携わる養育者は、いつでも次のことを考えながら慌ただしく養育に携わっており、この事件の祖母のように「考え事をしていて送るのを忘れていた。仕事を終えて車に戻るまで気づかなかった」というような状態(赤ちゃん忘れ症候群)は、いつでも起こり得るのです。

 この事件を対岸の火事と考えず、もう一度、ひとりひとりの児童にしっかりと向き合って養育しているかどうかを、落ち着いて繰り返し自らに問うことを大切にしたいと思います。養育者は、唯一無二の大切な命をお預かりする重要な事業を行っている自覚を決して失ってはなりません。ファミリーホーム事業者に求められる責任は非常に思いと感じます。